INTERVIEW インタビュー

SIMSで月面の水資源探査を支えたい。

ゼネラルシムスサービス株式会社 代表取締役 井上 信孝

2022年起業。SIMS(2次イオン質量分析法)のパイオニア的グローバル企業で18年間フィールドサービスエンジニアを経験。日本のみならず海外でも活躍。地球・宇宙科学向けの大型2重収束セクター磁場質量分析計をメインに担当。現在は神奈川県横浜市に本社、北海道札幌市に札幌営業所を置き北海道大学との共同研究を通して次世代型質量分析装置の開発を目指している。

ゼネラルシムスサービスで取り組んでいることは?
SIMS(2次イオン質量分析法)の開発で軽量小型化することを目指しています。従来のSIMSはとても大型で重量も最低1.5tあります。私たちは宇宙にSIMSを持って行くことを目指しているので重いということは最大のネックになります。今 月面に物を持って行くとすると1kg=1億円と言われていますので仮に今世の中に存在するSIMSを持って行くだけで1500億円以上掛かる計算になります。
どうして月面にSIMSを持って行くのか?
昨今よくニュースで目にする様になった月面開発ですが、最大のポイントは月面には水があるのか?もしあるならば何処にあるのか??ということです。過去 欧州宇宙機関(ESA)が打ち上げた探査機 ロゼッタには様々な科学観測機器搭載され中でもROSINA内に二重収束形質量分析計(DFMS)やCOSIM内に飛行時間二次イオン質量分析計(TOF-SIMS)と私たちが開発を進めているD-SIMS(二重収束型二次イオン質量分析計)により近いものが実際に彗星に向けて飛んでおります。
月面でSIMS必要な理由とは?
現状 本当に水があるのか、あるとするとどこに水があるのかが分からない現状で高感度に水素成分を測れることは非常に重要なポイントになります。簡単に言うと砂漠で水を探している様なものです。またこのような地球外のサンプル分析実績があるのか否かがもう一つの重要なポイントになります。私たちは北海道大学と共同研究を行っておりますが、北海道大学では多くのリターンサンプルの解析実績があります。ここ最近では、はやぶさ、はやぶさ2、OSIRIS-RExの解析実績を有しています。
起業した理由は?
起業したのが52歳のとき。だいぶん遅咲きの経営者になります。随分と昔ですが若いころ起業したいと奮起したことがあるのですが周囲からの反対で思い留まった経験があります。また社会人としての経験も少なかったのであの時は思い留まって正解だったのかと今は思います。あれから数十年 経験と知識を得て今しかない!と思い起業をしました。
現在直面している難問は?
マンパワー不足ですね。スタートアップ企業あるあるですが、知名度も実績もまだ少ないなかで優秀な人材を探すのはなかなか大変なことです。
その難問をどう乗り越えたか?
現在は協力会社増やしそれぞれの得意分野で協力頂いております。また2024年4月にはグループ企業 株式会社GSアナリシスを創業させました。
今後の事業の展望は?
月面用SIMSにのみならず、いままでSIMSを余り活用していなかった分野に普及させていきたいです。現在北海道大学と社会実装を進めているSCAPSシステム(二次元イオン検出器 SCAPS(stacked CMOS active pixel sensor))もその一つです。光学用途で一般的に用いられているCMOS イメージセンサー表面に電極を積層することでイオンの直接検出を可能とした固体撮像素子で今まで見えていなかったものを可視化させることで技術の発展、世の中が豊かになるようなことに寄与していきたいです。

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